注文住宅を建てる際の最も大きい悩みの一つが 建築会社選び だと思います。
人生に一度の大きな買い物。絶対に失敗したくない。
我が家は、情報収集する中で、特に
①欠陥住宅・施行ミスが発生する可能性を最大限排除したい。
②なるべく高性能な家に住みたい。
という想いが強かったので、住宅会社選びには相当神経を使いました。そんな我が家が、不確実性(ガチャ)を排除するために、我が家が実践した建築会社の選び方をご紹介します!
ハウスメーカー・工務店の比較
そもそも、当初我が家は、家を作るならハウスメーカーしかないんだろうと思い、展示所とかに行ってみたりしたのですが、色々とYouTubeの発信とかを見ているうちに、工務店で家を建てるという選択肢が有ることを知りました。
工務店というと、「下請け」のようなイメージがあり、あまりよい印象がなかったのですが、直接工務店自身が個人から仕事を受注する「元請け」の工務店があり、高性能を謳っている会社も多いみたいでした。
高性能な家に住みたかった我が家は、大手ハウスメーカー・元請け工務店とで比較を行い、建築会社選定を行っていきました。
実際に、選定してみて感じた両者の違いは以下の5点です。
- コスパ
- 施行品質
- 財務体質
- 施行地域
- スケジュール
順番に解説します。
あくまでも我が家が比較を行った、ヘーベルハウス・元請け工務店(数社)での比較・感想になります。
コスパ(工務店優位)
2023年4月時点、30坪の2階建てのケースで比較した際には、工務店の方がコスパがよかったと感じております。
・大手ハウスメーカー(ヘーベルハウス)の概算見積り 約4000万円(オプション含まず)
・元請け工務店の概算見積り約3500万円(オプション・諸費用込み)
各家庭ごとに前提条件が異なりますので、一概にどちらが高いということは断言はできないですが、工務店は、標準価格に、無垢材・トリプル樹脂窓など一般のハウスメーカーではオプショングレードとなる仕様も込みとなっておりました。
全然安くないのですが、工務店、安い!と思ってしまいました。
家づくり中あるあるで、金銭感覚が完全麻痺しております。
ヘーベルハウスは坪単価が高いとされているハウスメーカーですので、異論ある方は是非コメントください。
品質(価値観によりけり)
そもそも品質をどう定義するのかが非常に難しいのですが、ここでは、品質=UA値・C値・耐震等級の3つの観点で比較したいと思います。
UA値(断熱性能)・C値(相当隙間面積)
UA値・C値は密接にかかわる点なので、まとめてお話します。
ヘーベルハウスでは、断熱性能を表すUA値は数値が明確になっていたのですが、住宅の隙間がどのくらい空いているかを表すC値については数値が明確になっておりませんでした。多くのハウスメーカーがC値は明記しておりません。
C値が悪い値で、住宅の隙間が多い状態になっていると、いくら壁の断熱材を厚くしたところで、隙間から夏は暑い空気が、冬は寒い空気が入り込んでしまいます。C値が悪くて、UA値が高い家というのは、びゅんびゅん風が吹いて寒い日に、厚手のコートを着ているのにかかわらず、チャックが全開になっているようなものです。花粉・PM2.5なども室内に取り込んでしまう可能性も高まり、計画的な換気もうまくできなくなるので、住宅性能としては重要とされております。
C値は、住宅を実際に作る職人さんの腕・技量に影響を受ける指標であり、大量受注・大量生産を行っているハウスメーカーが下請け工務店の職人の指導まで担保することができないという背景もあり、C値を示すことができないと思われます。(国の基準からも2009年に排除されております)
住宅業界の闇ですね。
営業担当者は、断熱・気密について、「断熱・気密を気にされる方も結構いらっしゃいますが、費用をたくさんかけたとしても、室温が1℃~2℃くらいかわるくらいです。その程度の変化に気づけますか?数値を追い求めすぎるのは本末転倒です。」というようなコメントがありました。基本的には、C値を明示していないハウスメーカーが多いので、UA値・断熱性能の部分だけ聞いて誤解しないように注意が必要です。
工務店については、どの工務店を選ぶのか?によって、品質のバラつきは非常に大きいため、その点は注意が必要になります。C値も測定して性能を担保する事ができる一部の優良工務店もございます。
耐震性能
耐震性については、ヘーベルハウスは鉄骨造で非常に頑丈。大きな地震が来たとしてもヘーベルハウスなら絶対安心、長期で済むのに間違いなしと感じさせてくれるような家づくりができると感じました。木造と比べ、鉄骨造の方が耐震性が高くなりますので、より頑丈な家に住みたい方は、鉄骨造の選択肢ができるハウスメーカー一択かなと思います。
木造でも耐震等級3を取れば、鉄骨と比べると弱いですが、大地震にも耐えることができますので、耐震等級3を取得することをおすすめします。ただ、「耐震等級相当」と見せかけの耐震等級を謳っているケースもあるようですので、心配な方は、長期優良住宅を取得がおすすめです。許容応力度計算という構造計算がマスト行われ、耐震等級3が確約されます。
財務体質(ハウスメーカー優位)
財務体質については、工務店は圧倒的に不利でした。
住宅は作るのがゴールではなく、将来的なメンテナンスも非常に重要です。自分の家を作った建築会社が最も自分の家のことをわかっているはずですが、倒産してしまっては元も子もないです。よって、将来的に存続しうる会社なのかを整理しておくことが非常に重要になります。
また、帝国データバンクの「建設業」倒産動向調査(2023年)(https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p240103.html)によると、倒産件数は1,671件となり、前年比+38.8%と急増している様子。
経営の専門家じゃないし、判断できないです💦
大手ハウスメーカーであれば、倒産による社会的な影響も大きいことから、業界団体から守られる可能性も高いですし、その点安心感はありますよね。
工務店を選ぶ際には、社歴・雇用従業員数・年間棟数などをHPで調べてみる等して、なるべく自分として安心感を持てる会社を選択した方がいいかもしれません。我が家の場合には、コンセプトとすごく自分たちにあっている工務店なんだけれども、従業員5名で年間数棟建てているような工務店もございました。家づくりにも非常にこだわっていたのですが、財務体質の観点で断念しました。
一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会のHP(https://www.kashihoken.or.jp/kashihoken)によると、基本的には、『品確法』という法律で10年間は売主(建築会社)側が施行ミス・欠陥に関して保証責任(住宅瑕疵担保責任)を負っており、倒産した場合にも売主は保険に加入しているので、修補等が行えない場合でも、発注者・買主は保険法人に対し、瑕疵の修補などにかかる費用(保険金)を請求することができるようです。
メンテナンスについては、瑕疵担保責任の範囲外ですので、その点は自分でメンテナンスしてくれる会社を探して対応するしかなさそうです。
ハウスメーカーが絶対安心ということではなく、あくまでも工務店との相対比較した感想です。
施行地域(ハウスメーカー優位)
施行地域についても、大手ハウスメーカー優位で、基本どこでも施行することができますよね。建築方法(鉄骨・木造)や自分の好みの雰囲気などに応じて、ハウスメーカーを比較して選定することができるので、その点は安心。
工務店の場合には、施行地域が地元周辺に限られています。都道府県内全域をカバーしているような工務店もあれば、本社から○○キロ圏内とか、○○市内というように施行地域を限定している工務店も結構多いので、HPで調査する手間がかかります。施行地域内に自分の建てたいコンセプトに合致するような会社があるかどうかは完全に運です。
ハウスメーカーの方が好みの家を見つけやすそうね。
スケジュール(ハウスメーカー優位)
スケジュールについても、ハウスメーカーが優位です。
ハウスメーカーであれば、基本的には、定型スケジュール通り、契約してから○○カ月後に家ができるということが確定していることが多いと思いますが、工務店の場合には、大量受注できるキャパシティもないため、スケジュールは込み具合によるということが多いです。特に優良な工務店の場合には、すでに今年の予約は埋まっていて建築開始は来年、というパターンもざらにあります。
例えば、子供が小学校入学する次の4月までに引っ越しを済ませたいとなった場合には、ハウスメーカーの方が予定は立てやすいと思います。(そんなに急いでいるなら、戸建てではなくマンションを選択するしかないとなるかもしれませんが)
まとめ
以下、5つの観点で、ハウスメーカー・工務店の比較を行いました。結果は、以下の通り。
- コスパ⇒工務店優位
- 施行品質⇒個人の価値観・会社によっても濃淡あり
- 財務体質⇒ハウスメーカー優位
- 施行地域⇒ハウスメーカー優位
- スケジュール⇒ハウスメーカー優位
我が家の場合は、最終的には、工務店で住宅建築を任せることにしました。たまたま良い工務店と巡り合うことができたのが大きかったです。
ただ、労力はハウスメーカー以上にかかりますし、スケジュールも融通が利かない点があったりと、その点ではコスパ悪いので、結局は、人それぞれの価値観次第と思います。
デザイン性を重視していたり、大手ハウスメーカーの安心感をもとめるような方は、ハウスメーカーでの家づくりの方が選択肢も豊富で、マッチすると思いますが、我が家は、どうしても賃貸住まいで、あったかい家に住みたいというのと、家族の健康を重視したいというのが、家づくりのメインテーマでしたので、そこだけは譲れないポイントになり、高性能な家を作ってくれる可能性が高いだろう工務店で契約しました。
念のためお伝えしたいのは、決してハウスメーカーでの家づくりを否定しているわけではなく、我々の家づくりの価値観と合わなかっただけということなので、その点はご理解いただければと思います。