土地探しをする中で誰もが
『自分の条件に合う土地がなかなか見つからない』という悩みにぶち当たると思います。
- 駅距離が近い土地
- 整形地
- 地盤が強い土地
ただ、条件の良い土地は、業者やお金持ちが取得してしまうのが現実で、数年も理想の土地を探し求めている人もいるくらい。
ほんと完璧でいい土地なんて全然みつかりませんよね、、、お金さえあれば、、、
土地を見れば見るほど、土地探しに費やした時間に見合う土地を求めてしまうのが人の性。
我が家の場合は、早々に理想を捨て、駅からの距離や生活環境を最優先事項とし、それ以外の大半を妥協しました。
(我が家の土地選びの条件整理のポイントは別の記事でまとめる予定です。)
数ある妥協点の中で、最も悩んだのは『擁壁』問題。
YouTubeを見てると擁壁のある土地は買うな!と有識者の多くが主張してましたが、最優先である生活環境・駅距離を実現するために、
隣地との高低差2m以上の『擁壁』のある土地
を買ってしまいました。
土地探しをする中で、『擁壁』のある土地は実際どうなのか?
悩んでいる方に参考になればと思い、記事にまとめます。
2m以上の擁壁の問題点
購入時点を前向き検討している段階で、仲介業者から、2m以上の擁壁があるということを知らされました。
隣地との高低差2m以上の『擁壁』のある土地
の一番大きな問題点は、直前に家が建っていた土地であったとしても、
新たに家を建てることができない可能性がある
という点でした。
家が建てられないなら、土地を買う意味ないですよね、、、
よくわからないけど、死活問題なので、素人なりに調べました。
がけ条例
最初に、家を建てられるような土地ではない可能性があることを知らされたときは、『 え?? 隣にもい家建ってるし、前にも家があった土地なら、そんなことないでしょ??』と思いましたが、2m以上の擁壁は、都道府県の『がけ条例』に抵触することがわかりました。
『がけ条例』とは、隣地との高低差が2m以上ある場合に、がけの「高低差×2」の位置に建築物を建ててはいけないという条例です。
わかりにくいので、具体例でお示しすると、がけの高低差を「2m」ぴったりとすると、がけ地から4m(=2m×2)離れたところには、家を建てられないということです。図でみるとこんな感じで、a〜bの範囲には建築できないということです。
「埼玉県建築基準法施行条例と解説」より引用
そんな規定あったら、関東圏の狭い土地なら、家建てるの無理じゃない、、、
と思いましたが、例外規定として、
もし、上の画像の「a〜b」の範囲に、建てたい場合には、
安全であると認められる擁壁等を設けることができれば、家を建ててもOK
と定められています。
「がけ条例」は各都道府県によって異なります。ご自身のお住まいの自治体の情報をよく確認してから土地を検討ください。
問題ない擁壁かどうか?
逆にいえば、この擁壁は安全ではない!と言われてしまえば、そもそも家を建てられないので、結構やばいです。
本当に家が建てられる土地なのか?を購入前に、
この擁壁が条例に記載の『安全であると認められる擁壁』に当てはまる土地なのか??
を仲介業者・工務店に確認しました。
擁壁の種類
擁壁にも以下のように、色々と種類があります。
- 石積み
- コンクリートブロック
- 大谷石
- 間知石・間知ブロック
- 鉄筋コンクリート造(RC造) 等々
擁壁の種類によって強度が異なります。我が家の土地は、鉄筋コンクリート造で、強度は高そう。鉄筋コンクリート造の場合には、L字型になっていて、ここ最近新築で作られるものの大半は鉄筋コンクリート造によるものみたいです。
「埼玉県建築基準法施行条例と解説」より引用
擁壁の耐用年数
まずは、『鉄筋コンクリート造』ということでひと安心でしたが、それだけではなく、その状態も大事みたいです。
鉄筋コンクリート造の建物の耐用年数は47年と定められておりますが、鉄筋コンクリート造の擁壁の耐用年数は定められていないようです。「鉄筋コンクリート造 擁壁 耐用年数」といろいろなサイトを調べてみましたが、どのサイトでも一般的な20年~50年程度と記載されておりました。
ソースがどこにも載っておりませんでしたので、確かかどうかはわかりません💦
ただ、この情報を見た後に、50年目の擁壁を買うかといわれると迷いますよね、、
現地調査結果
前提条件によっても、状況は異なると思うので、なんとも言えないので、ここからは、建築者の工務店の社長さんの見解も聞いてから判断することにしました。
前に家が建っていた土地でしたので、役所で擁壁が作られた当時の設計の情報を得ることもできたようでした。さすがプロ!!!
現地確認結果(工務店社長見解)
- 擁壁が建築されてから30年経過している
- 完全に平行になっておらず、土圧に押されて歪みはある
- 水抜き穴はしっかり機能している
- 亀裂・ひび割れなどの明らかな損傷がない
なんとも、微妙な結果。。あと20年で崩壊してしまったらどうしようか。。正直どう判断したら良いか迷いました。。
擁壁の状態としては、ボロボロということではないですが、30年間、家・土の重みを支えていたということもあり、100%安全とも断言はできないとのこと。
鉄筋コンクリート造で、ひどい歪みではないので、よほどのことがない限りは崩れることはないだろうということでしたが、
念のため、杭工事を行い、建物の重さを杭に吸収させることで、擁壁にかかる圧力を減らそうという提案を受け、その方針を受け入れ購入を進めていくことになりました。
最悪、擁壁が傾いても杭があれば、建物を支えられる!ということで、購入決断しました。決断する2週間ほど前、「ほしい!」と思った土地が申し込み2番手で購入できなかったという経緯もあり、購入判断を急ぎました。
擁壁土地ということで、土地固有のリスクはありますが、周辺地域のハザードについては、土地の成り立ち・洪水・内水・液状化なども問題ありませんでした。
追加コスト
ちなみに、
杭工事費用は、112万円
でした。
子育てエコホームの補助金(80万円)は、これで消滅です。
思わぬ弊害 建築確認申請が下りない
事前に工務店とも相談の上、
問題ない擁壁だろう
ということで、順調に打ち合わせを進め、地鎮祭を終え、いよいよ着工!と、、、
なった段階で、
『建築申請がまだおりてません。』
と工務店の社長さんから連絡がありました。
理由としては、隣地との高低差があるためにかかってくる「がけ条例」に対して、安全な角度まで杭を施工するという工事について、建築主事がなかなか許可を出さないとのことでした。。
お役所仕事でなく、しっかり見てくれてるということで逆に安心ではあるのですが、当初2023年10月頃には許可が下りるスケジュールだったのにも関わらず、年を越して2024年4月下旬になってようやく許可が下りました。。
まさか半年も建築確認に時間かかるとは思いませんでした。。
我が家はもともと子供が保育園の3歳クラスに進学する2025年4月を目標に計画していて10ヶ月早いスケジュールで進んでいたので、半年遅延してもなんとかなりましたが、急いで家を建てなければならないという方は、2m以上の擁壁地はやめた方がいいかもしれません。
ちなみに、土地はすでに購入していたので、6ヶ月ローンの金利相当部分のみの支払いは発生しており、6ヶ月で約12万円程度無駄にお金を払う羽目になりました。
一方で、よかったこともあり、建築主事が色々と注文をつけたことで、基礎の厚みは通常の1.5倍となり、杭のグレードもその基礎の重みを受け止められるように、グレードがアップしたみたいです。最初その話を聞いた時には、施主負担になるのか?と戦々恐々としましたが、結果としては、工務店の社長さんが、「これだけ迷惑をかけているから、追加負担分は当然うちが負担する。」と言ってくれました。
工務店によっては、施主負担で、と言われかねないかなと思いましたので、工務店選びも重要ですね。。
擁壁のある土地 最悪のケース
最終的に建築許可が下りて、建築できたのでよかったですが、もし建築申請が下りず、擁壁を作り直しするように言われる可能性もあると思います。
そうなると、杭工事の100万円どころの金額ではなくなりますし、本当に要注意です。
がけ上か、がけ下による違い
我が家の土地は、『がけ上』の土地でした。基本的には、擁壁の所有は『がけ上』の土地が所有していることが大半のようです。
『がけ下』に該当する場合には、擁壁の所有権はないので、自分でコストをかけてメンテナンスする必要がないというコスト面のメリットはあります。
しかし、擁壁の所有者がメンテナンスを怠り、崩壊した場合には、自分の土地に危険が生じる可能性があります。
また、鉄骨造であれば、『がけ下』の場合でも、建築できることが多いようですが、木造のハウスメーカー・工務店で検討している場合には対応できない可能性もあるので、よく建築者に確認するようにしましょう。
まとめ
2m以上の擁壁地のデメリット
- 擁壁が崩壊するリスク・安全性への懸念
- 杭工事による追加費用
- 建築確認申請が通りにくい
- スケジュール遅延のリスクあり
向いていない人
- なんとしてもはやく家を建てたい人
- 追加コストをかけたくない人
- 安全性だけは譲れない人
デメリットも多いですが、相場より安い金額で取引されているケースも多いです。是非参考にしてください。
2m以上の高い擁壁地のメリット
これまで、隣地との高低差が大きい土地のデメリット・注意点を中心にまとめましたが、以下のようなメリットもあります。
がけ上擁壁地メリット
下の建物に遮られることがないので、以下のようなメリットもあります。
- 採光が取りやすい
- 見晴らしがよい
結局は価値観次第ですね。
以上です。